QC(Quality Control)は、直訳すれば品質管理です。何となくイメージが湧きますが、しかし、いざQC活動の話となると、グラフの書き方・見方の話だったり、あるい改善活動の話だったり、はては会社の方針管理の話だったりと、捉えどころがありません。そこで、QC検定等で触れられる「品質」や「QC」の考え方とその関連について、雑多な話題を誤解を恐れず書きたいと思います。また、身近な業務の問題を品質技術を使って解決する方法についても書きたいと思います。
製造業を想定した話題が多いと思いますが、考え方自体は特に業種を限ったものではないと思います。
TQM
TQMとは、Total Quality Management、つまり、総合的品質経営です。様々な文脈でTQMという言葉が出てくるので、捉えどころがありませんが、誤解を恐れずに言えば、TQMは、会社全体の品質の向上活動と言えます。つまり、Aという製品の品質向上、Bというサービスの品質向上と個別に考えるのではなく、業務や経営の品質を向上させる活動によって、あらゆる製品やサービスの品質向上につなげていくわけです。
以下のような管理の枠組みがあります。
- 日常管理:日常業務の活動
- 方針管理:中長期や年度の方針をトップダウンで会社全体に展開する活動
- 機能別管理:部門ごとではなく、経営要素ごとの横断的な活動
PDCA
TQMを実践する上で必須の技術が改善サイクルと思います。あらゆるTQM活動で利活用できます。
- SDCA(Standardization-Do-Check-Action):ばらつきのない結果を生み出す維持活動
- PDCA(Plan-Do-Check-Action):製品やサービス、業務や経営の品質を向上させる改善活動
PDCAサイクルはとても重要な活動で、具体的には以下のように細分化されます。
- P(Plan、計画):目的の明確化→指標と目標値の明確化→進め方の明確化
- D(Do、実施)
- C(Check、確認):実績値と進め方の確認
- A(Action、処置):確認結果から、対策の検討と次のPの設定
既存の業務の改善サイクルは、Checkから実施するため、CAPDoと呼ばれることがあります。具体的には、以下のようになると考えます。
- 現状把握から始めるので、CAPDoを実施
- PDCAサイクルを回し、改善できたら標準化しSDCAサイクルを実施
- 業務のバラつきが少なく安定したらPDCAサイクルを回す
その他の概念
TQMとは、直接的な関連はありませんが、TOC(制約理論)はTQMとの関連を感じさせる手法体系と思います。QCの世界というのは、様々な手法(道具)があって、自由に組み合わせて使うことが多いので、自由度は高いのですが使いこなすのが難しい気がします。
TOCはQC由来の様々な手法があるのですが、ある経営目標に従って、あらかじめシステム化された組み合わせで手法を使うようになっています。トップダウンでシステマチックに推進するスキームは欧米人好みと思います。
例えば、TOCの継続的改善は以下の5つのステップからなっています。
- 制約条件を見つける
- 制約条件を徹底的に活用する
- 制約条件以外を制約条件に従属させる
- 制約条件の能力を向上させる
- 惰性に注意しながら、最初のステップに戻る
また、TOCの思考プロセスでは連関図法や系統図法、PDPC法のような手法もあり、使い方がシステム化されていて興味深いです。TQMの理解を深めるのにQCの手法は役立つのではないかと思います。